中国人学生脅威論

最近元気が無い。ちょっと風邪を拗らせたってのもあるんだけど、そういうのじゃなくて、もっと腹の底にズーンとくるような元気の無さ。香港大学に留学にきて1ヶ月経って、こっちで楽しく過ごしてるし、日々充実してるし、なんでだろうとふと考えてみたら、中国人への無意識なライバル心だった。

こっちに来て解ったことの1つに、香港大学の強さの秘密がある。香港大学は、シンガポール国立大学清華大学などを抜いてアジア1位に陣取っている。その原動力は、本土中国からの学生たちにある。各省ごとの最優秀層を、内陸部と天と地ほどの差がある香港の生活水準と奨学金をぶら下げて贅沢に集め、現地の学生と徹底的に競争させる。殆どの授業は相対評価で成績が決まるので、「80点以上はA」という訳にはいかない。それはもう気が狂ったように勉強した学生から順にAが付くのだ。一部を除いた香港人はメインランド生との負け戦を強いられ、最初から諦めている節もある。正直、香港人は日本人とあまり変わらない。

中国人(ここでは本土学生を指す)がどれくらい勉強しているかというと、戦後の高度経済成長下の日本人を思い浮かべてもらえればいいと思う。ただし、彼らは流暢な英語を話し、膨大な知識に裏付けされた緻密な議論をする。教科書を丸暗記している訳ではない。僕が図書館に行くと彼らはいつも同じ席に座って黙々と勉強しているし、とくにそれをひけらかすような素振りもしない。無口だけど、話しかけるととても好意的に話してくれる。いっそ「小日本!」と鼻で笑ってくれたほうが怒りに任せてモチベーションも炊き上がるというものだが、なんというか、いい奴らなのでそんな気にもならない。ちなみに、これはこの大学だけで起こっていることではなく、全米中のあらゆる大学のトップに名を連ねているのも、留学している中国人と聞く。

この風潮は、中国が本当に豊かな先進国になって、豊かさに溺れるまで続くだろう。日本がそうだったように。

この大きな隣人に、政治でも経済でも防戦しか能の無い日本が勝てるわけがない。

僕は今年の7月頃まで、「グローバル世界で一国に留まってる必要なんか無いし、老人のエゴで借金押し付けられるのなんてまっぴらなんで一足先に日本を棄てますサヨナラ〜」とか言っていたんだけど、そのことについて出国前にお世話になった人から説教されたことに加えて、丁度いいタイミングで尖閣諸島の話題もあり、日本人としてのアイデンティティが日々生まれてきている。(僕はああいう報道のアジテーションは全て政治的なものでしか無く、本質はもっと長期的な国家間のパワーバランスを見なければ意味が無いという立場を取る平和主義者だけど。あと僕は中国も韓国も好きです。でなければ香港に留学なんかしない。)

とかいって、めずらしくビビってみました。負けたくない。