実は音楽を作ってました。

今年の2月〜6月頃まで、実は音楽活動をやっていました。慶應の友達はあまり知らないかも知れないけど、高校1年の時からギターをやっていて、高校3年間はバンドに熱を入れていました。高校卒業後は音楽の専門学校に行ってミュージシャンになることを信じて疑っていなかったんですが、いろいろあって結局普通に大学に進学し(我ながら良い判断だった。危なかった。)、青学時代も軽音サークルに入っていました。慶應に入ってからはすっかり熱も覚めてしまい、2年ほど全くギターを弾かず、ネックは反れ弦は錆びてるような始末だったんですが、思うことあり、音楽に再度向き合いました。

音楽活動といっても普通にバンドを組んでライブをしていた訳ではなく、ウェブとPCをフル活用するDTM(Desk Top Music: PCで曲を作ること。)プロジェクト形式でやっていました。簡単に言うと、ギターやマイクをごちゃごちゃとPCにつないで、オンラインで録音したデータをやり取りして、場所の離れた友達と遠隔で曲を少しずつ完成させていきます。90年代くらいから、音の電子化クオリティの向上とDTM機材の低価格化に伴って流行ってきたスタイルで、今では本気を出せば、プロとほぼ遜色ないクオリティ(素人にはわからないレベル)で曲を完成させることができます。音楽業界の凋落の原因として、CDを買わないなど需要側の問題がよく取り沙汰されますが、こういった供給サイドにも価格破壊が起きていて、アマチュアとプロとの境目が無くなり、どんどんマネタイズできる付加価値がなくなってきているというのが現実です。業界サイドから見ると地獄絵図のような現状ですが、僕はアマチュアサイドからアプローチすることで、中長期的にはビジネス化も狙っていました。

具体的にどういう事をしたかというと、青学時代のバンド友達やその友達を誘って上記の方法を実行し、結果的にボーカル入りの曲を一曲完成させました。この曲です。
http://dl.dropbox.com/u/257142/Eurasia%20Arr%20Sample16.mp3
作詞作曲とギターを僕が担当し、複数の友達に、ボーカル、ベース、ドラム、マスターアレンジをお願いしました。多忙なメンバーのスケジューリングを、スカイプDropboxを上手く使って解決しながら、時に対面で会い相談し、少しずつ進めていきました。僕のデモ曲を皆に聞かせてからこの形にするまで、合計で確か3ヶ月くらい掛かっています。

プロジェクトとしてこれが成功だったか失敗だったかというと、失敗。描いてきた目標には遠く及ばず、アタフタしているうちにゼミや留学、就活などが始まり、自分の生活を管理出来なくなり、止めてしまいました。予定ではミュージックビデオまで作成し、Youtubeにアップするのがこの曲のゴールで、実は絵コンテから始まりSFCのスタジオを丸一日使ってビデオまで録ったんですが、完成までもって行けず。主導していた僕の責任です。本当にごめんなさい。

敗因は、先を急ぎすぎた事と、頭でっかちになり過ぎた事にあると反省しています。大まかなスケジュールを作ったはいいものの、ToDoが今考えると多かった。作曲は趣味だからいいけど、急かしても納得行くものが出来ないし、先の事をいろいろ考えたり、全体の進み具合に気を配ったりしていると、次第に学校その他と同時並行でやれる限界を超えてしまいました。何でもかんでも自分でやりたがる質ではないですが、人の行動が自分のexpectationの範囲に無いと不安。テコ入れすべきなのか、信じて任せるべきなのか、経営者の感覚の片鱗を味わいました。

ところで、このプロジェクトに対する僕のモチベーションの1つは、高校時代の上手くいかなかったバンド活動のリベンジです。当時の僕はギターケースの小さいポケットに教科書を入れて学校に行っていたような体たらくで、相当バンドに傾倒していました。僕の居た高校には軽音楽部が無かったので、別の高校の友達と一緒にオリジナル曲を作ってライブハウスで演奏したりしていました。バンドでの僕の役目はリーダーで、ひたすら自分たちのバンドに足りないことは何か考えながら、曲のイメージやメンバー集めに始まり、練習やライブのスケジュールを考え、どうやったらお客さんにもっと来てもらえるか試行錯誤したり、今考えると当時の自分なりに必死に知恵を絞っていた気がします。(一番足りないことは、実力だったのだけど。)高校時代のバンド活動は、周りの皆が部活や勉強に真剣に打ち込むように、僕にとって本気でぶつかっていた事だったので、一人ですごく悩んだし、いろいろ経験したし、人との付き合い方とか、僕の性格にも大きく影響を与えました。

思い出すことはいくらでもあるけど、こういった感じで、いろいろ試行錯誤しながらも悲しく終わってしまった薄暗い思い出がありつつ、それからの数年間、音楽はやっぱり好きだった。時間的な制約や煩わしい人間関係に囚われないような、本来やりたかった形でリベンジする意味を込めて、ずっと温めていたこのプロジェクトを始めた次第です。なので、このまま中途半端な形で終わらせたくないと思っています。僕の尊敬する人に教えてもらった言葉があるんだけど、大切な事は、「言いだしっぺで初めて、ひたすらやり抜く」こと。つらくなったらそ知らぬ顔で投げ出したり、あらゆる言い訳を総動員して出来ないことを正当化したりしては、絶対にしてはいけない。自分の内側から湧き出るモチベーションすら制御出来なくて、それ以上のことが出来るわけがない。

未だに強く賛同してくれたり、協力を約束してくれている友達がいることは本当に幸せ。留学中の身、楽器も機材も持ってきていないけれど、何が出来るか考えて、やっぱり地道にやっていこう。作った曲はたまにブログにアップしようと思います。