中国がしたい事って

中国が何を考えてるのかずっと知りたかったんだけど、なんとなくわかったかもしれない。"Middle Kingdom"のプライドを取り戻したいんじゃなかろうか。

今でこそ急激に発展する大国のような印象があるが、歴史を振り返れば中国はずっと世界最大の帝国だった。圧倒的な人口と統治システムで、世界GDPの20%を占めていた国。それがアヘン戦争あたりから国内外で弱体化させられて、近代化に乗り遅れた。西欧が世界を支配しだしたこの200年くらいがむしろおかしいと言う事。

中学校で中国の農村部と都市部の格差拡大についてのドキュメンタリーを見たとき、なぜあんなに貧しい国が豊かな日本をドヤ顔で見下すのだろうと純粋に疑問に思ったことがある。生活水準を羨望したり敵対心に燃える気持ちならわかるが、欲求の下部分が満たされていないのに社会的なステータスを気にしている。たぶんこの中華思想が根底にあるんだろう。

韓国ベトナムフィリピンミャンマーなど多くの国は、冊封体制で中国の影響圏内にあった時期が長い。中華思想では天子を頂点に、中国に住んでる人は素晴らしくイケてて、その他の国は野蛮でどうしようもない人たちと考えるらしいので、隣でどんどん成長していく日本はさぞ生意気に映っただろう。参勤交代しに来ない地方の藩がいつの間にか独立していくようなものか。しかもその日本に負け、経済的にアジア最大勢力の座を奪われ、屈辱甚だしいということか。

2500年歴史を振り返ると、中国はこれまで8回大きく勃興した時代があり、今回はその9回目であるという考え方がある。周、秦、漢、晉、唐、元、明、清に続く、9回目の中華人民共和国だ。いずれの時代も、新政権はしっかりした統治をするんだけど、ある共同体が長く権力を維持すると必ず腐敗が起こって、別の勢力がその座を奪う。国も企業も、世界どこでも同じ。ほんと、人間って弱いな。

中国はシンガポールアブダビと違って、一党独裁でやるにはサイズが大きすぎて、かなり無理していると思う。現状既にいくつかの経済圏に分かれていて互いが競争しているけど、大前研一氏が分析するように、下からの革命ではなく共産党主導で連邦国家化できたら、もっと長く「中国」を維持できるかもしれない。中東のように民衆一揆で政権を倒されても、バラバラに独立して政治経済的に混乱してしまうだけだ。それは中国内のみならず、最大の買い手を失う世界も大きな損失を被り、中国はまた弱くなり、信義を果たすことは不可能になる。だから中国では中東革命の話は一切報道されていない。共産党は民衆を弾圧して政権を維持したい訳ではない。ムバラクカダフィーとは違う。

ただ同時に、テクノロジーの進化に逆行することは絶対に出来ない。中国からfacebookにアクセスする方法なんて、中国の若者は誰でも知ってる。彼らが中東の若者のように怒り狂わないのは、不都合はあるけど、どんどん暮らしが良くなっているから。もし仮に次の共産党総書記が独りよがりな独裁者になったら、一瞬で崩壊する。田村耕太郎氏が前つぶやいていたのはこういうことだろう。

@kotarotamura: 中国人は全員中国国家のために働いているんじゃない。中国人こそ中国政府信用していない人多い。経済的に成功できるうちは黙っておこうくらい。信用されてないのわかってるから共産党政府は唯一の国家安定策である経済成長のみ必死に追及する。怖いんだよ民衆が

こういうこと考えてるメインランド学生にはまだ会ったことないけど。

あと、中国がプライドを取り戻した後、何しだすのかがちょっと怖い。