The Economist Aug 6th Time for a double dip?

China’s train crash Curiouser

http://www.economist.com/node/21525428
中国浙江州温州で、新幹線が衝突事故を起こした。原因は、管轄が中国省庁の中でも特に古い体質と言われる鉄道省であったこと、共産党90周年の契機に記念開通を狙ったことによる急ピッチの工事などが重なった人災だと言われている。技術的な問題があったかどうかはわからないが、微博という中国版ツイッターで流れている情報によると、3週間程度の期間が通常必要な運転研修を、開通を間に合わせるため10日に無理やり短縮させたとか、内部の無茶ぶりが伝わってくる。このあたりの臨場感は「ベイジン」という小説を読むとすごくよくわかります。
個人的に関心が高いのは、この事件がかなり大っぴらに中国インターネット上で議論されていることだ。通常こういうのがあると政府が火消しに来てURLや検索ワードを遮断するようだが、これまでのチベットウイグルとは違い、同じ漢族が派手に犠牲になったことに、市民は動揺を隠せないどころか怒り狂っている様子も垣間見れる。そして政府はそれを最も恐れている。
この事件は中国の政治体制を揺るがす一歩なのだろうか。

Brazil’s industrial policy, Dealing with the real

http://www.economist.com/node/21525439
ブラジルは日本から一番遠いBRICs。ブラジル高成長をリードしたルラ大統領から、1月に同じく労働党のディルマ・ルセフが初の女性大統領の座についている。景気は好調、一方でホットマネーの流入がインフレを誘発し、ブラジル中央銀行は2011年7月20日のインフレターゲットを、一年前の10.75%から12.50%にまで引き上げている。Banco Central do Brasil - Interest rates金利の結果通貨買いが集まり、同期間においておよそ12.5%対ドルで上昇している。

Source: tradingeconomics.com

Economistの記事の内容は、高騰するレアル高から国内産業を守るため、衣服、靴、家具、ソフトウェアの四業種に、2012年まで試験的に税の優遇措置(tax cut)を取ったという内容。ValeやPetrobrasなどのエネルギー産業はコモディティ高のため、資源国家のブラジルは基本的に潤う。建築やサービス業も国内の経済が好調であるため上向きであるが、その他は物価高で辛く、工業生産指数は前年度1.6%下げた。失業率は低いもののレイオフが賃金を下げ、労働者は苦しい。
インドもロシアも中国もそうだが、ブラジルはまだまだ法制度や認可手続きなどにおいて、ビジネス環境として不安定な部分が多々ある。今回の特別税制も、労働党政権の背景が誰であるかを推測するとなんとなく臭いそう。
ブラジルの産業政策は、現在の世界経済の中、彼らにとって正しい選択なのであろうか。

参考:
ブラジル新大統領、最低賃金法で好スタート切ったが…:日経ビジネスオンライン

Israel Street power

http://www.economist.com/node/21525411
チュニジア、エジプトに始まり、アラブ広域で大規模なデモがあったことは記憶に新しい。中東にありながらユダヤ国家であるイスラエルは、憎い敵であるパレスチナでも同じデモが起こるかどうかを注視していたようだが、イスラエル内でデモが起こった。
生活コスト高騰に対して、200,000人がイスラエル最大都市のテルアビブに集結した。イスラエルの年間経済成長率は、2004年から平均して4.5%成長、失業率は11% to 6%へ下がった。数字上では好調な経済に見えるが、格差や腐敗によって、多くの民衆は不満を感じていることが噴出したようだ。

BBC News - Israelis stage mass protests over rising living costs
イスラエルで30万人デモ 物価高騰で「史上最大規模」 - MSN産経ニュース

Buttonwood Not so fast

http://www.economist.com/node/21525456
金融マーケットにおいて、流動性があることは非常に大切である。いつでも売り買いできることが保証されていれば、投資家は安心して金融商品を自分のポートフォリオに組み込むことができる。それは結果的に最も効率的なマーケットそ創り出す。しかし、良い結果をだしている企業が一番簡単に資金を集められるよう、マネーは最適な投資先へ常に向かわれるべきである。

The high-tech industry Start me up

http://www.economist.com/node/21525430
英国からの世界レベルのテクノロジー企業は、あまり耳にしない。その理由として、以下の3つがまず上がっている。1)国内マーケットが小さいため、芽が育ちにくい。2)言語が英語のため、最初からシリコンバレー企業が競争相手となるために、非常にタフな戦いになってしまう。欧州の言語バリアがある各国とは勝手が違う。3)ベンチャーキャピタルの不足とスタートアップ企業への支援ネットワーク。
しかし、世界の情報網が発達した今は、シリコンバレーにオフィスを構える必要性も薄れ、優秀なエンジニアはたくさんいることと、ロンドンは世界有数の多人種都市であることから、新興国マーケットを狙う企業が出てくる土台として悪くないと指摘する。
財政再建中の英国は、VCの誘致やハイスペック移民の検討をしているようだが、どうなるのだろうか。

An underperforming president

http://www.economist.com/node/21525395

Islam and democracy, Uneasy companions

http://www.economist.com/node/21525410

The Turkish model, A hard act to follow

http://www.economist.com/node/21525408

Islam’s philosophical divide, Dreaming of a caliphate

http://www.economist.com/node/21525400

India’s politics, Dust in your eyes

http://www.economist.com/node/21525422
インド南西にある、鉄の産出により比較的裕福な州Karnatakaで、Yeddyurappa(とても発音できない…)首席大臣汚職で捕まった。彼の所属するBharatiya Janata Party/インド人民党は、インドで第二位の政党。現政権はマンモハン・シンが所属するIndian National Congress/インド国民会議
インド経済成長は行き詰まり感がある。首相の政策アドバイザーは経済成長率を9%から8%へ下方修正し(Morgan Stanleyのリサーチでは7%程度)、昨年度FDIはベルギーの半分ほどであった。一方で、金利とインフレ率は上昇を続けている。
先週か先々週ののエコノミストでも指摘されていたが、成長鈍化の原因は産業規制や財政改革が進んでいないことだ。マンモハン・シンが1991年に改革を行ってから期待の新興国として名を馳せていたが、2008年の金融危機以降、他のBRICSと同じような部分で頭を悩ませている。
今回の事件は、政権間の政治ゲームで野党側に不利を与えた。インド人民党はインドナショナリズムや反イスラム主義の色が強く、宗教問題やパキスタンバングラディシュとの外交問題では張り切るインセンティブがある。(インドが核実験を行ったのも、人民党が政権を取っていたパジパイ政権の時だ。インド・パキスタンの核実験 —内容、目的、動機および国際社会の反応—
選挙のの行方は国家がとる選択肢をある程度決めていく。(あんまり変わらない国もあるが)小さなニュースではあるが、背景を少しづつ抑えて敏感になりたいところ。

参考:
Yeddyurappa resigns, backs Sadananda Gowda as successor - Times Of India