反日感情について。
留学をしていると、当然世界中の学生と仲良くなる。香港は、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、フランス、そして中国、韓国人をよく見るかな。仲が深まるにつれて、センシティブな話もできるようになる。本土では、反日教育の根はそれなりに機能していることを聞いて、時々悲しくなる。歴史に基づくものや誤解や偏見に満ちたものまであって、僕はとりあえず、日本人として生きてきた経験から明らかに誤解であるものについては説明するようにしている。それだけで彼らは大層驚き、日本人を見る目を少しだけ変える。
個人的スタンス
まず自分の立場を明確にしておくと、僕は文化的に、非常に親中親韓です。北京に行ったり孔子読んだり現地の友達と話していて、彼らの考え方や人への接し方から、根本的に日中韓はとても近い人種だと感じているし、J-POPよりC-POPやK-POPをよく聞くし、カラオケでも歌う。
中韓の美女を紹介するエントリーじゃなかった。おっとっと。
話を戻すと、カルチャーのファンでも、国益に関わるような事象はまた別の話。国家は国民を内包する存在であって、他の国と協調しつつ、外交の中で牽制し合い、国益は守る必要がある。他国の主張を少女時代がどれだけ好きでもハイハイ受け入れるのはpointless.あと激情に基づく小競り合いは、ヤンキーがいちゃもんつけるのと一緒でなんも意味ないと思う。特定の宗教とも無縁。ということで、実際にどんな話しを聞いて、自分はどうレスポンスしてるか、韓国の例を元に書いてみる。
例えば、HKUに留学に来ている高麗大学生との会話。*1その子が言うには、「なまめは友達だし私は楽観的だから別だけど、私が仮に一般的なコリアンだとして、一般的な日本人像に対して、基本的に日本のこと嫌うように育てられたから、心の底から好きになることは難しいし、そんなこと自分の国で言うのは難しいし、周りには本気で反日の友達も割といるよ」という感じ。一寸の誤解から友情に傷を付けるのを避けようと、敢えて当事者の２人を一度棚にあげてジェネラルな話題として話そうとするあたり、問題の根の深さが垣間見れて少し寂しい。
その「一般的なコリアン」が、いったいどんな教育をされてそうなっているのか、気になって探してみたらこんなのを見つけた。大韓民国独立記念館の中にある、日本帝国主義侵略館の、日本軍の残虐行為を表した絵画や蝋人形。この動画は古いものだけど、僕のその友達もこの記念館には社会科見学で行ったらしい。なるほど、これでは毛嫌いするようになっても仕方ない。
この他にも戦時中の従軍慰安婦や、皇民化教育、創氏改名などを根拠に、潜在的に日本に対して苦味を植えつけるような教育をしているようなのはとりあえず事実のようだ。あとは領土問題や靖国問題などのツールがスイッチになって暴発したりする。
大体の主張をまとめてみると、
- 基本的に日本人はアグレッシブな民族なので、いつ戦争とかしでかしてもおかしくない。*2
- （いろいろ理由を並べて、）これだけの証拠があるのに、なんで日本は領土権を主張するのか意味不明。
- （いろいろ理由を並べて、）いまだに戦時中の謝罪も賠償も行われていないのはひどい。
みんなだいたいおんなじ事しか言わない。植え付けられた情報をリピートしてるだけで、自分の議論のベースになっている情報を疑っている人はあんまり居ない。なぜ一方向の議論が作られて変化しないかと言うと、こうした論調に疑問視する声は国内で全て黙殺されるためで、社会構造的に不可能なため。異を唱えれば政治家だろうが大学教授だろうが学生だろうが、周りから白い目で煙たがられて距離を置かれる。日本人と結婚した韓国人が韓国でそのまま暮らし続けるのは本当に大変だと聞く。
2PMというダンスが超絶上手いグループがいるんだけど、そのメンバーの一人は、祖国を馬鹿にした文章を昔MySpaceに書いたのがバレただけで、デビュー直後の人気グループをクビになった。
2PMは、韓国の男性アイドルグループ。JYPエンターテインメント（以下JYPE）に所属し、2008年9月4日にデビューした。その時のメンバーは7人だったが、2009年9月、リーダーであるパク・ジェボムが練習生時代に書いた韓国卑下文章が明らかになり、脱退を表明。2010年2月26日、正式にJYPEから解雇となり現在のメンバーは6人である。2PM - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/2pm
こういったことを踏まえて、僕は何をとりあえず、１)大日本帝国と日本は全然違うよ。２)反中反韓どころか反戦教育を受けたよ。という２つを伝えてる。
１)は、未だに天皇制は危険とか日本の軍事力は喫緊の脅威だとか真顔でいう人への言葉。原爆や絨毯爆撃でボコボコにされた上、戦後GHQに軍事も財閥も解体されて、人々のマインドも憲法もがらっと変わって、ごく一部の右翼しか天皇崇拝してないし、自衛隊に熱を上げるのはミリタリーマニアだけだよ、という話。あと、なんでわざわざ中韓を怒らせるために靖国参拝するの？という質問には、あれは日本がアメリカとアジアとのパワーバランス取るための外交ツールだから、と言ってる。
２)は、日本の歴史教育に強烈な疑義を持っている人への反論。日本の教科書は他の国と比較して客観的に書かれていて、韓国併合や大東亜共栄圏に関して事実を淡々と書きはしても、過去の軍事行為がいかに勇ましかったとか正しかったかとか習ったり読んだ記憶は一切無い。日本の教育システムに特定の国を嫌悪させるような内容は一切無い。*3それから、これは他の人はどうだかわからないけど、僕が東京に居たとき住んでいた小学校には平和集会という全校集会が終戦の日に合って、全校生徒が体育館に集められ、みんなで原爆映画を見た。皮膚がただれながら屍のように歩く人や、足や腕が無くなってお水をくださいお水をくださいと懇願しながら死んでいく人々や、倒れた家屋に挟まれながら燃えていく両親を尻目に動けない赤子など、ショッキングな映像を散々見せられ、トラウマになった。ちなみに他の日には映写機で被爆者の写真も見せられた。怖くて泣いてた。
歴史上の事象を厳密な意味でどちらが正しいか判断するのってどうしたらいいんだろうか。詳細な研究は専門家に任せるとしても、大枠で事実であることを客観的に理解したあとは、何かを拠り所にした意見を持つのがまずスタートかとは思う。でもそれって何？それは自分がどこの国の人であるとかどこで生まれたかとかどこで育ったかであって、僕の場合は日本の公式見解をベースに意見を組み立てるべきなのかとは思う。でも事実ってなんだ？まだあまりよく考えて始めていないだけかもしれないけど、意見の組み立て方そのものがとても大事なような気がして、意図的に避けてるような気もしている。本当によくわからなくなるけど、僕はこれからもっと、こういった話題に出くわすことは避けられない。これまでみたいに冗談でお茶を濁すというのは、もう許されない解答だと思う。
