中国語を独学で勉強するには
いま北京で中国語学習に精を出しています。特にここ数日は週末のHSKの試験の準備でがっつり勉強しているのが板に乗ってきて、このまま順当にいけばかなりいいレベルにまでなる道筋が(時間はまだまだかかりますが)自分の中でついてきたので、中国語学習のこれまでの経験をシェアします。
ネイティブ学習と、お勉強学習
まず僕は言語を学習するには2つのアプローチがあって、通常2つは選べず、育った環境で勝手に規定されるものだと思っています。
前者のネイティブ学習とは、両親が中国人であったり、幼少期に中国で暮らしていたりしていて、会話で自然に土台を作ったタイプ。こちらは概して、(僕らが喉から手が出る程欲しい)日常会話のスキルは物心ついた時には既に持っているものの、難解なトピックや、読解は苦手です。
後者は一般的な日本人が言語を学習する方法です。まず文法の仕組みを理解し、単語量をコツコツ増やし、先に読み書きが得意になり、工夫を重ねると、喋れるようにもなりますが、多くはここまで到達しません。なぜならこの「一工夫」は日本の義務教育で一切教えられること無く、ハードルが高いからです。僕はこの後者で、これを前提に書きます。
授業か独学か
結論を言うと僕はいま中国語クラスに参加してはいますが、基本的には独学ベースです。なぜならクラス編成の都合上、レベル感やスピードが個々人に合わせられることはまず間違いなく有り得ず、最適な学習量/スピードは自分でコントロールせざるを得ないからです。特に上に書いたネイティブタイプとお勉強タイプを一括りにして教えることは無理がありすぎます。
ダラダラやるのが嫌いな性分なので、短期間に最大限の効果が出る方法を考えて、一気にやります。もちろん方向を間違えることもあるので、最初は効果測定をしながら試行錯誤を重ね、段々精度を挙げていきます。英語もこうして喋れるようになったので、同じ方法でやっています。
独学とは、自分の分析をひたすら繰り返すこと
就職活動をする時に、よく自己分析をしろと言われますが、独学に必要なエッセンスも同じようなものだと思います。しょうもない内定対策の本に沿って模範解答を参考にしながら奇怪な質問に答えまくることに意味があるかはやったことが無いのでわかりませんが、「なぜこれが必要なのか?」「今の自分のレベルはどのあたりで何が欠けているのか?」「それを補強するためにはどんな方法が自分にとって一番適切なのか?」など、自分に聞きたい質問を紙に落として悶々と客観的に考えることが全てだと思います。僕は頭が悪くて何かに書かないと考えが進まないので、こういうことを考えるためのノートをもっています。
ちなみにこの「独学が出来る能力」と「学力」は互いに独立で、大学受験を予備校に頼りっぱなしでクリアしたタイプだと前者に少し時間がかかるかもしれませんが、繰り返せば自然に出来るようになり、予備校ではなんて無駄な時間を過ごしたのだろうと思うようになるかもしれません。
時間を確保する勇気を出すこと
上記の「独学をする能力」が既に有るのであれば、下に書く教材やステップアップはおまけでしかありません。あともう一点だけあるとすれば、この「まとまった時間を確保する」という決断ができるか否かだと思います。そしてこれが一番難しい事だと思います。
言語学習には時間がかかります。毎日コツコツと電車の中で頑張ったりもしてみましたが、やっぱり一番伸びるのは、他にやっている事を止めて集中してやった時です。その差が圧倒的であることを僕は英語学習の経験で知っていたので、いま時間を取っています。当然このためにいろいろ捨てていますが、得ているモノの方が圧倒的に大きいです。
中国語独学の段階ごとに使った教材
繰り返しますが、独学に本当に必要なのは適切な教科書の選択ではなく、その前段階の「独学が出来る能力」を会得することです。以下に僕の使った教材を挙げますが、僕とあなたが必要としている条件は大きく違うので、参考にして頂ければ幸いですが、そこから自分にとって最も適切なものを探して頂けたら、なお嬉しいです。
目次:
0.中華圏の文化を好きになる
1.入門の中国語教材を一冊
2.初級レベルの単語と文法を抑える
3.口語の表現に手を出す
4.中級レベルの単語と文法を抑える
5.自然な中国語へのシフト
0.中華圏の文化を好きになる
人間は基本的に弱い生き物なので、言語学習の高めのモチベーションを続けるためには、楽しみが無いと無理です。映画、音楽、絵画、歴史、建築、なんでもいいので文化を好きになる努力を最初にちょびっとだけすると、自然に言語にも触れたくなるので後がすごく楽です。僕は音楽が好きなので、ポップソングをひたすら好きになってみました。カラオケ行ったり、ギターでちょろっと弾けるレベルにまで好きになりました。1つこういうのがあれば、当然友達も作りやすいです。
こういう入り口をスキップしてしまうと、出口の見えないトンネルを懐中電灯なしでスコップで開拓するような暗く苦しい果てしない道のりを描くことになります。考えただけでも恐ろしい。
1.入門の中国語教材を一冊
基本的な文法、単語、文法を抑えるために使用します。声調を完璧に身につけ、パターンが少ない現代中国語の文法を抑えます。大学の第二外国語で使用されるタイプの、一課毎に学ぶ文法が明確で、会話形式の例文と、ある程度の単語量が記載されているものが良いと思います。
ネイティブや中国語の上手な友人に気になる所を質問しまくりながら短期間で進めるのが最も効果的だと思います。ネイティブの友達なんて居ないから無理だろと思うのではなく、本気で中国語を学びたいのであれば作ってください。日本語を勉強したい中国人はあなたの会社や学校、ネット上にだっていくらでもいます。
2.初級レベルの単語と文法を抑える
これが終わったら、簡単な挨拶と、簡単なコミュニケーションが出来るようになっていますが、少しでも小難しい表現になるとできないので、日本人の得意な丸暗記戦法を使いましょう。僕はたまたま持っていたので「ふうたお」という大学が出している教材を使いました。
- 作者: 慶応義塾大学経済学部中国語部会
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2005/04/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 84回
- この商品を含むブログを見る
3.口語の表現に手を出す
教科書のお硬い表現と、実際に使われる口語の表現は少し違うものです。少し小洒落た言い回しに慣れておくのもいいかもしれません。僕は「男と女の中国語会話術」という世代を超えた名著を持っています。
- 作者: TLS出版編集部
- 出版社/メーカー: TLS出版社
- 発売日: 2010/07/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 60回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
例:「我们注定这样要为彼此而着迷?(お互い惹かれ合う運命だったのかな?)」
覚えた後、どう使うかは僕にはよくわかりません。(ちなみに、日本語でもこんなこと言わないのと同じように、実際の日常生活ではもちろん普通使いません。)
4.中級レベルの単語と文法を抑える
日常生活に困らないレベルにまで一気に引き上げます。僕は聴読中国語という有名な本を使っています。英語で速読英単語というシリーズがありますが、あれを参考に作った本で、めちゃめちゃクオリティが高いです。
- 作者: 津田量
- 出版社/メーカー: ナガセ
- 発売日: 2008/12/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 12人 クリック: 124回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
また単語の配置も非常に作りこまれていて、例えば39課で「称赞」が出てきたら40課で「赞赏」、41課で「赞成」が出てきます。「赞」という字を確実に覚えられるようになっています。
5.自然な中国語へのシフト
ここまで完璧にやったらすでにいいレベルだと思います。ストイックに勉強するのはここで休憩して、あとはドラマや映画、対面の会話で、文字としてストックした中国語の断片を、「言葉」に置き換えていく作業を楽しみながらやれればOKだと思います。耳から自然な言い回しを増やしたり、喋りたいのに喋れない、恥ずかしくてもどかしい思いをたくさんして、ネイティブタイプと同等の喋る力を付けることができたら、もう怖いものはありません。
ということで、頑張りましょー!